オディロン・グルーべ Odilon GREVET
BOKKO © 1999 Sentaro KUBOTA, Hideki Mori, Kenichi SAKEMI / SHOGAKUKAN.
受賞作品
BOKKO / STRATÈGE
Kenichi SAKEMI, Sentaro KUBOTA, Hideki MORI,
Vega Dupuis
[翻訳者のコメント]『墨攻』は、心地よい時代錯誤の香りを持つ特異な作品です。この作品は1992年に始まりましたが、1970年代の劇画雑誌から出てきたような印象を与えます。視覚の観点で既に時代的なずれがあり、中国の戦国時代という設定も同様です。
テクストも負けてはおらず、「古めかしいが、古すぎない」側面があり、使われなくなった古語を掘り起こすことを好んでいます。そこで、読者をうんざりさせる難解な古フランス語は使わないよう注意しながらも、現代的すぎる表現は避けるように心がけました。
森秀樹氏のバランス感覚は絶妙で、文脈中の情報が凝縮されたパッセージと、洗練されたすばらしい見開きページとを交互に切り替える術を持っています。そして、『墨攻』は、二千年以上前の遠い国で繰り広げられるアクションにもかかわらず、今でも魅力的な漫画であり、ユマニスト的であると同時に、ひたすら平和主義的な作品です。それこそが、現代の風潮において、この作品にさらに特別な味わいを与えているのです…。
[受賞コメント]『墨攻』は、初代皇帝の即位に至るまでの古代中国を大きく揺さぶった戦乱を描いたエキサイティングな物語です。歴史小説愛好者である私にとって、この作品の翻訳をすることは大変楽しかったです。私を信頼してくれたステファン・フェラン氏に、そして、協力してくれたヴェガ・デュピュイ社の皆様に感謝申し上げます。この賞をいただいたことで、読者の皆様がこの不滅の漫画に興味をもって読んでくださることを心から願っております。
[あらすじ]戦国時代の中国、様々な国の間で戦争が激しく行われていた。墨家教団の時代、10000人以上の兵を止める能力を持つ唯一の男が現れる。この教団の信奉者の強さの秘訣は、軍事戦略の知識があること、そして、作戦の指揮権を持たせるや否や、どんな町や村でも防衛できることである。この教団の偉大な信奉者の1人で、戦闘と戦略のスペシャリストである革離が任務に派遣される。彼の役目は、墨者に助けを求めた町の防衛体制を組織することである。革離は、これまでに見た中で最も恐ろしい敵と対峙することとなる。それは、田襄子率いる、彼自身の教団であった。その戦略は、墨者本来の哲学に反するもののように見えていた…
選考対象 | : | 2022年9月1日から2023年8月31日に出版された日本漫画のフランス語翻訳作品 |
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グランプリ発表 | : | 第51回アングレーム国際漫画祭(2024年1月27日) |
選考委員 | : |
ブランシュ・ドゥラボルド(漫画研究者) ジュリアン ブヴァール(リヨン第3大学准教授) グザヴィエ・エベール(GRENA会員・漫画研究者) グザヴィエ・ギルベール (「du 9」編集者) アントナン・ベシュレール(ストラスブール大学准教授) |
【第7回小西財団漫画翻訳賞 ノミネート作品】