オーレリアン・エスタジェ Aurélien ESTAGER
受賞作品
Stop !! Hibari-kun !
Hisashi Eguchi, Le Lézard Noir
[翻訳者のコメント] 他の分野同様、漫画においても、喜劇ではあるテンポを継続しなければならないことが多い。笑いを起こすために、せりふはできる限り流ちょうにつながらなければならないし、脳を通さずに頬骨をくすぐるのが最良のギャグとされる。そこで翻訳者としては、最大限にフレーズを磨き上げ、短く手日常的な語を選び、前置詞やコンマを減らすのだが、同時に、自然で生き生きとしたトーンを保たなければならない。
『ストップ!ひばりくん!!』に登場するギャグのいくつかは、フランスの読者が知らない日本の大衆文化から着想を得ている。私は、たとえつまらないシャレになるとしても、これらが指し示すものをフランス語化しようと決めた。実際、ページ下部に説明書きを添えてすべての人がうんざりしてしまうよりは、99%の読者が落胆しても、1%がくすっと笑ってくれればよいと思っている。
ギャグの翻案を行うときは、特にイラスト入りの言葉遊びの場合には、忍耐が必要であり、運によるところも大きい。そのため、近い音の語を見つけられるように、テーマごとに単語リストを作り、いい情報収集ができるように祈りながら、できる限り幅広く語をかき集めている。私の場合、それで解決できない時には、言葉遊びを差し込んで、原作の「割り当て」を維持するようにする。
最終的に、この作品では、その時代のスラングに頼りながら、絵の魅力に合うように調整した。こうして、お茶目で誰からも好かれる、ひばりというヒロインに対する江口先生の愛情を、そのまま読者に届けることができたのではないだろうか。
[あらすじ] 母を亡くし天涯孤独の身となった少年、坂本耕作は、遺言に従い、母の古い友人・大空いばりの家に身を寄せる事になる。しかし、いざ生活を始めてみると、大空家は暴力団であり、いばりはその組長だった!
耕作は一目散に逃げようとするが、美人ぞろいの大空姉妹に会ったとたんに考えが変わる。つばめ、つぐみ、すずめ、そして一番の美少女の末娘ひばり。耕作は、彼女に一目惚れしてしまう。しかし、耕作はある事実を知って再びびっくり仰天。実はひばりは男だったのだ!
選考委員: | グザヴィエ・ギルベール (漫画評論家) ステファン・ボジャン(アングレーム国際漫画祭 アートディレクター) グザヴィエ・エベール(漫画研究者) ジュリアン ブヴァール(リヨン第3大学日本言語学科 准教授) ブランシュ・ドゥラボルド(INALCO漫画研究者) |
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選考対象 : | 2018年10月1日から2019年7月31日に出版された日本漫画のフランス語翻訳作品 |
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結果発表 : | 第47回アングレーム国際漫画祭(2020年1月31日) |
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【第3回漫画翻訳賞 ノミネート作品】