20e Prix Konishi de la Traduction littéraire
-
塩塚 秀一郎
受賞作品
『リモンの子供たち』
レーモン・クノーコレクション③ 水声社 2013年
塩塚氏はレーモン・クノーの専門家で、その研究はフランスでも高く評価されています。本格的な学問上の知識を生かした訳業によって、本書が単に遊戯的な作品ではなく、両大戦間の緊迫した状況を背景とする、同時代への抵抗精神を秘めた作品であることが明らかになりました。 専門的知見に支えられた驚くべき名人芸として、塩塚秀一郎氏訳、レーモン・クノー『リモンの子供たち』はきわめて優れた作品であるというのが選考委員の一致した意見であり、同作品に第20回小西財団日仏翻訳文学賞を授賞することに決定致しました。
カトリーヌ・アンスロー
受賞作品
Jambes de cheval
AKUTAGAWA Ryûnosuke, Belles Lettres, 2012.
アンスロー氏は翻訳家として活躍しており、他にも井上靖や園地文子、遠藤周作などの大作家の作品も翻訳しています。アンスロー氏は、このJambes de chevalを翻訳するにあたり、資料を入念に調査しながら、誠実に芥川作品に向き合っており、作品のチョイスについても抜群のセンスが光っていました。 この作品を通して、彼女の真摯な姿勢がよく伝わってくると同時に、翻訳という仕事の重要性と難しさも痛感させられます。従って、選考委員会は、カトリーヌ・アンスロー氏に日仏翻訳文学賞を授与することを決定致しました。
ミリアン・ダルトア=赤穂
受賞作品
Le restaurant de l’amour retrouvé
OGAWA Ito, Philippe Picquier, 2013.
Le restaurant de l’amour retrouvéは、話の内容と翻訳の文体とが巧みに一致しており、隅々にまでいきわたる入念さのおかげで、作品がフランス語に翻訳された後でも、原作同様に「共感」を引き立てることに成功しています。 選考委員会は、この業績を評価するため、若手翻訳者に対する奨励賞(新規開設)をミリアン・ダルトア=赤穂氏に授与することと致しました。