第18回 日仏翻訳文学賞 受賞者
18e Prix Konishi de la Traduction littéraire
宮下 志朗
受賞作品
『ガルガンチュアとパンタグリュエル』
宮下志朗氏は、定評ある渡辺一夫訳『ガルガンチュワ物語』『パンタグリュエル物語』に深い敬意を払いながらも、それが敷居の高い古典と化している現状を意識し、より広い読者層に開かれた訳文を創り上げるべく努力をされました。その結果、実に軽やかな魅力を湛えた清新な日本語による、まったく新しいラブレーの翻訳が誕生し、その画期的な偉業が評価されました。
末次 エリザベート
受賞作品
L’aiguillon de la mort
島尾俊雄『死の棘』は、平凡な夫婦を破綻へと導く狂気を、緻密に、複雑に、そして巧みに表現した、戦後の私小説の傑作です。この作品を翻訳する試みは、文学的かつ精神的深淵から無傷では戻ることのできない危険を伴うものであったにもかかわらず、末次氏は、一貫した緊張感をもって翻訳に取り組まれました。その結果、現代日本文学作品のフランス語翻訳の現状に残されていた空白を補完する、非常に重みのある業績を残したことが評価され、受賞の運びとなりました。